第13席  視力検査の日に想う

 今回は、視力に関するお話です。  最近、新聞やテレビなどで、「子供たちの視力」についての記事を多く 観る様になりました。「子供たちの視力が落ちており、問題だ。」 「ゲームは一日一時間だけにするべきだ。」といった記事が、目立つ様 になりました。  筆者もまったく同感です。  そこで、筆者の実体験をお話させて頂きたいと存じます。  筆者は現在、40歳後半で、すでに50歳の声が聞こえております。 しかし、視力に関しましては、老眼は始まっているものの、メガネ、 コンタクトレンズといった矯正器具を使用しない、裸眼の状態で、 現在でも右1.5、左1.2をキープしております。 筆者の記憶では、確か小学生か中学生の時代、一度0.8を記録した と存じますが、現在では大幅に改善されております。これからお話させ て頂く事実は、視力を改善するための方法、もしくは、視力をキープ する方法として、参考にして頂きたいと存じます。もちろん、これから 申し上げる方法は、筆者の経験であって、医学の検証を受けたもので はありません。ただ、筆者の経験を、あるがままに申し上げますから、 取捨選択の判断は、皆様次第です。  さて、筆者が「視力改善」を始めたのは、16歳の頃です。           

 と、申しましても、「視力が落ちたから、改善してやる。」と決意しての 事ではありません。武道に必要な鍛錬が、結果として、視力改善を もたらしてくれたと謂うものです。  筆者は、16歳から本格的に打撃を学び始めました。その過程で、 「人体には急所があり、急所を的確に攻撃する。」ということ、そして、 「相手の攻撃は完璧に捌く。」ということ、つまり、 「当てられないで当てる。」 という事を、一つの鍛錬目標としました。

 その実現のためにはどの様な プロセスが必要か、随分と模索したものです。  稽古の際、遠い一点を探します。遠くの木でも、壁の一点でも、一点を 定めます。慣れれば更に小さな点をその一点とします。 「人体の急所」とは、「点」であって、 そこを的確に打ち抜かねばならないわけですから、探した一点を急所と 見たて、届きはしないその一点に、拳先がぴたりと一致する様、ひたす ら正拳突きを繰り返します。すると、その一点は、徐々に大きく見えて 来ます。  通学は電車ですから、乗車の間はドアの窓から隣の線路を見つめ、 その枕木に、石がいくつ乗っているかを観てとる努力をします。 くたびれたならば、遠くの景色を眺めます。  乗り換えの駅は、人で混雑しております。ここでは、人々の間を、早足 ですり抜ける鍛錬をします。瞬時に数人の動きを確認し続け、ステップ も使うわけです。

 しばらくしますと、自らの眼に、所謂、「眼力」がついて来た事に気が つきます。筆者も、一時期は普通に話を聞いているだけで、「なぜ そんなに睨むのですか。」と言われ、人と話す際は、度の入っていない メガネをして、すこし優しい表情を造る様に努力しておりました。 この頃からか、たまたま、身近に、株式会社青春出版社さんから発行 されていた、ハロルド・ペパード博士という、医学博士の書かれた「視力 改善」に関する本があって、熱心に取り組み始めました。 最近、懐かしくもあり、同書を探しましたところ、青春出版社さんより、 「眼がどんどんよくなる ペパード博士の視力回復マニュアル」と新装 され、現在でも販売されている事を知り、早速購入致した次第です。

 当時通っていた道場では、組手における目付法も教わりました。 それは、相手に相対した際でも、相手の頭から足先までを、視線を 動かさずに観る方法で、これを実践します。  こういった事を日々行う事で、筆者は、視力が良くなっているという 自信をもち、実際に改善され、さらには、この日々が基礎となって、 現在でも良い視力をキープしていると信じております。  そして、この経験から、訓練により、視力は改善すると確信している 訳です。もちろん、病気や遺伝といった要素で、視力の落ちた方もある のでしょうから、そういった方々には、社会と医学が確りとサポートする べきであると考えます。筆者は視力が低い事が悪い事だなどとは、全く 申し上げるつもりはありません。  ただ、病気や遺伝以外の理由がある場合があるのではないでしょう か。  筆者が子供の頃には、ブラウン管のテレビを見る際には、画面の 対角線を5倍した距離よりも近くでは見てはいけないと言われたもの で、充分に明かりを取らないでの読書など、もっての外と叱られたもの です。そういった教えが奏功したのでしょうか、当時は、学校の各クラス に、所謂「めがねっ子」は、一人いるかいないかであったと記憶しており ます。  現在、学校における「めがねっ子」の数は、当時とは比べものになら ない程増加していると言わざるを得ません。 しかも、一部の子は、メガネを取ると、どこを見ているのか解らないよう な眼をしています。所謂、「ピントがあっていない。」状態で、かつては 観られない状態と謂えるでしょう。  その原因を眼科医さんに伺った際、「体質です。」というお返事が あったそうです。「身体の成長も関わって来る問題なので、成長すれば その分視力も落ちる。」そうです。専門家の意見ですから、それも原因 の一つなのでしょう。 しかし、この一因だけで、これだけ「めがねっ子」が増加した理由が説明 できるのでしょうか。  30数年まえと現在とで、「視力」に関する環境の変化、それは何か。 この事を考えると、ゲームやディスプレイ作業に思い当たらざるを得ま せん。特に、子供の身近にあるもの、それはゲーム機なのではないで しょうか。      ・・・次ページへはこちらから


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